なるほどガッテン健康レシピで長生き生活

健康にとって、毎日の食事は体と心を支える大切な要素ですよね。特に無添加食品は、余計な添加物を避け、自然な素材そのものの味わいを楽しむことができる選択肢として注目されています。自然本来の力で、心も体も満たされる毎日を一緒に目指しましょう!

鶏むね肉と根菜の塩麹しょうが煮|腸活と免疫力アップレシピ

あなたは「肉じゃが」と聞いて、どんな味を思い浮かべますか。甘辛い醤油の香り、ほくほくのじゃがいも、とろりと煮えた玉ねぎ。日本の食卓に欠かせない、まさに家庭料理の代表格ですよね。

でも、ふと立ち止まって考えてみてください。あの美味しい肉じゃが、実は砂糖もお醤油もたっぷり使っているということを。もちろん、たまに食べる分には何の問題もありません。けれど、健康を意識して毎日の食事を見直したいと思ったとき、「もう少し体に優しい肉じゃがが作れないだろうか」と考える方も多いのではないでしょうか。

今日ご紹介するのは、伝統的な肉じゃがの美味しさはそのままに、現代の栄養学の知恵を取り入れた全く新しいレシピです。名付けて「鶏むね肉と根菜の塩麹しょうが煮」。塩麹の発酵パワーとしょうがの温め効果を組み合わせた、体の内側から元気になれる一品です。

この料理が長生きに役立つ理由

まず、なぜこのレシピが「長寿食」と言えるのか、栄養学的な観点からお話ししましょう。

主役となる鶏むね肉は、高タンパク・低脂質の代表選手です。100グラムあたりのタンパク質量は約23グラムと非常に優秀で、それでいて脂質はわずか1.5グラム程度。筋肉の維持に欠かせないタンパク質を、余計な脂肪を摂らずに補給できるのです。年齢を重ねると筋肉量が落ちやすくなりますが、十分なタンパク質を摂ることで、いつまでも自分の足で歩ける体を維持することができます。

そして、このレシピの最大の特徴である塩麹。これは米麹と塩を発酵させて作る日本古来の調味料ですが、近年その健康効果が改めて注目されています。塩麹に含まれる酵素は、肉を柔らかくするだけでなく、消化吸収を助けてくれます。さらに、発酵食品特有の乳酸菌が腸内環境を整え、免疫力アップにつながるのです。

私たちの免疫細胞の約70パーセントは腸に集中していると言われています。つまり、腸を健康に保つことは、風邪をひきにくい体を作ること、ひいては病気に負けない体を作ることに直結するのです。

しょうがの効能も見逃せません。しょうがに含まれるジンゲロールやショウガオールには、血行を促進し、体を芯から温める作用があります。冷えは万病のもとと言いますが、体温が1度上がると免疫力は5倍から6倍になるという研究結果もあるほど。毎日の食事にしょうがを取り入れることは、寒い季節の健康管理にとても効果的です。

根菜類もこのレシピの重要な構成要素です。じゃがいもに含まれるビタミンCは、加熱しても壊れにくいという特徴があり、免疫機能の維持に役立ちます。にんじんのβカロテンは体内でビタミンAに変換され、粘膜を健康に保って細菌やウイルスの侵入を防いでくれます。ごぼうの食物繊維は腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内フローラを整えてくれるのです。

これらの食材を組み合わせることで、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取できる、まさに「長生きのための一皿」が完成します。

調理時間とカロリー目安

調理時間は約35分。下準備に10分、煮込みに25分ほどを見てください。 カロリーは1人分あたり約280キロカロリー。従来の肉じゃがが400キロカロリー前後であることを考えると、かなりヘルシーに仕上がっています。塩分は1人分約1.8グラムに抑えてあり、高血圧が気になる方にも安心してお召し上がりいただけます。

材料(2人分)

鶏むね肉 200グラム じゃがいも 中2個(約250グラム) にんじん 2分の1本(約80グラム) 玉ねぎ 2分の1個(約100グラム) ごぼう 3分の1本(約50グラム) しめじ 2分の1パック(約50グラム) こんにゃく 100グラム しょうが ひとかけ(約15グラム) 塩麹 大さじ2 酒 大さじ2 みりん 大さじ1 薄口醤油 小さじ2 だし汁 400ミリリットル(昆布とかつお節で取るか、顆粒だしでも可) ごま油 小さじ1 万能ねぎ 適量(仕上げ用)

作り方

  1. まず鶏むね肉の下準備から始めます。鶏むね肉は一口大のそぎ切りにし、塩麹大さじ1をまぶして揉み込みます。このまま10分ほど置いておくと、塩麹の酵素が働いてお肉が驚くほど柔らかくなります。この「待つ時間」が美味しさの秘訣なので、ここは省略しないでくださいね。

  2. 野菜の準備をしていきましょう。じゃがいもは皮をむいて一口大に切り、角を軽く落とす「面取り」をします。これをやるかやらないかで、煮崩れ具合が全然違ってきます。ほんの一手間ですが、ぜひ試してみてください。切ったじゃがいもは水にさらしておきます。

  3. にんじんは皮をむいて乱切りにします。乱切りにすることで断面が増え、味がしみ込みやすくなるだけでなく、にんじん本来の甘みが引き出されます。玉ねぎは縦に8等分のくし切りにしましょう。

  4. ごぼうはたわしでよく洗い、斜め薄切りにします。アク抜きのために酢水にさらす方法もありますが、実はごぼうのアクにはポリフェノールが含まれているので、今回は水にさっとさらす程度でOKです。

  5. しめじは石づきを落としてほぐしておきます。こんにゃくは手でちぎるか、スプーンで一口大にちぎります。包丁で切るより表面積が増えて味がしみやすくなるのです。ちぎったこんにゃくは、臭み抜きのために沸騰したお湯で2分ほど茹でてザルにあげておきましょう。

  6. しょうがは半分をすりおろし、残り半分は千切りにします。すりおろしは煮込み用、千切りは仕上げのトッピング用です。この使い分けがポイントで、加熱したしょうがと生のしょうがでは、体への働きかけ方が違うのです。

  7. いよいよ調理開始です。鍋にごま油を入れて中火で熱し、塩麹をまぶした鶏むね肉を入れます。表面の色が白っぽく変わる程度に軽く炒めたら、一度取り出しておきます。火を通しすぎるとパサパサになるので、この段階では中まで火が通っていなくて大丈夫です。

  8. 同じ鍋に玉ねぎを入れ、中火で2分ほど炒めます。玉ねぎが少し透き通ってきたら、にんじん、ごぼう、じゃがいもを加えて全体に油がまわるように炒め合わせます。

  9. だし汁を注ぎ入れ、酒、みりん、残りの塩麹大さじ1、すりおろしたしょうがを加えます。強火にして煮立たせたら、表面に浮いてくるアクを丁寧にすくい取ってください。このアク取りを怠ると、雑味が残って仕上がりの味に影響します。

  10. アクを取ったら、こんにゃくとしめじを加えます。落とし蓋をして、弱火から中火の間くらいの火加減で15分ほど煮込みます。落とし蓋がない場合は、アルミホイルを鍋の大きさに合わせて切り、真ん中に小さな穴を開けたものでも代用できますよ。

  11. 15分経ったら、取り出しておいた鶏むね肉を鍋に戻し入れます。薄口醤油を回しかけ、さらに5分ほど煮込みます。このタイミングで醤油を入れるのは、最初から入れると素材が硬くなってしまうから。最後に入れることで、香りも活きてきます。

  12. 火を止めて、蓋をしたまま10分ほど置きます。この「蒸らし」の時間がとても大切です。煮物は冷めていく過程で具材に味がしみ込んでいくので、この10分で味わいがぐっと深まります。

  13. 器に盛り付け、千切りにしたしょうがと小口切りにした万能ねぎを散らして完成です。しょうがの千切りがアクセントになって、見た目も味も引き締まります。

健康効果のポイント

血圧が気になる方へ。このレシピでは従来の肉じゃがに比べて醤油の量を大幅に減らし、塩麹のうま味で補っています。塩麹は少量でも深い味わいが出るため、減塩しながらも物足りなさを感じにくいのが特徴です。また、じゃがいもに含まれるカリウムには、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、血圧の安定に寄与します。

血糖値の上昇が気になる方へ。砂糖を使わず、玉ねぎやにんじんの自然な甘みだけで仕上げているのがこのレシピの特徴です。さらに、ごぼうやこんにゃくに含まれる食物繊維が、糖の吸収を穏やかにしてくれます。食物繊維は「セカンドミール効果」と呼ばれる働きも持っており、次の食事の血糖値上昇まで抑えてくれるという研究もあります。

腸内環境を整えたい方へ。塩麹の発酵パワーに加え、ごぼうに含まれるイヌリンという食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなるプレバイオティクスとして注目されています。こんにゃくのグルコマンナンも腸のお掃除役として働いてくれます。発酵食品と食物繊維を組み合わせることで、腸活効果が高まるのです。

免疫力を上げたい方へ。しょうがの温め効果で体温が上がると、免疫細胞の働きが活発になります。しめじに含まれるβグルカンには免疫力を高める作用があることが知られていますし、にんじんのβカロテンは粘膜を健康に保って、病原体の侵入を防ぐバリア機能を強化してくれます。

美味しく続けるコツ

健康に良いとわかっていても、美味しくなければ続きませんよね。このレシピを長く楽しむためのコツをいくつかお伝えします。

まず、塩麹の品質にはこだわってみてください。手作りの塩麹が一番ですが、市販品でも発酵がしっかり進んだものを選ぶと、味の深みが違います。裏面の原材料を見て、米麹と塩だけで作られているシンプルなものがおすすめです。

作り置きする場合は、冷蔵庫で3日ほど保存可能です。実は、このレシピは作りたてよりも翌日のほうが味がなじんで美味しくなります。時間のある週末にまとめて作っておいて、平日の夕食にするというのも良いですね。

味に変化をつけたいときは、仕上げにほんの少しだけ柚子胡椒を添えてみてください。ピリッとした辛みと柚子の香りが、また違った美味しさを引き出してくれます。ごまをふりかけるのもおすすめです。

体質・年齢別アレンジ

高齢の方や噛む力が弱くなってきた方には、野菜をもう少し小さめに切り、煮込み時間を5分ほど長くしてください。また、鶏むね肉を鶏もも肉に変えると、より柔らかく仕上がります。脂質は少し増えますが、それでも牛肉や豚肉よりはヘルシーです。

ダイエット中の方は、じゃがいもの量を半分に減らし、その分こんにゃくを増やしてみてください。カロリーをさらに抑えながら、満足感は保てます。また、ごま油を使わずに、テフロン加工の鍋で油なし調理をすることもできます。

筋力をつけたい方や運動をしている方は、鶏むね肉を250グラムに増量してタンパク質をアップ。運動後の食事としても最適です。温かい状態で食べると、消化吸収が良くなります。

冷え性の方は、しょうがの量を倍に増やしてみてください。体の芯からポカポカと温まり、冬場は特に重宝します。仕上げの千切りしょうがも多めに添えると、より効果的です。

こんな人におすすめ

このレシピは、特にこんな方におすすめです。

健康診断で血圧や血糖値が気になると言われた方。減塩・低糖質でありながら、満足感のある味付けなので、無理なく食生活を改善できます。

免疫力を上げて風邪をひきにくい体を作りたい方。発酵食品としょうが、きのこの組み合わせが、体の防御力を高めてくれます。

腸活に興味があるけれど、何から始めたらいいかわからない方。このレシピ一品で、発酵食品も食物繊維もしっかり摂れます。

いつまでも自分の足で歩ける体を維持したい方。良質なタンパク質が筋肉の維持をサポートしてくれます。

家族の健康を考えて、毎日の食事を見直したいと思っている方。特別な食材は使わないので、普段の買い物の延長で作れます。

和食の美味しさを楽しみながら、健康にも気を配りたい方。日本の家庭料理の良さを活かしつつ、現代の栄養学の知恵を取り入れたレシピです。

「長生き」というと、どこか遠い話のように感じるかもしれません。でも、長生きの秘訣は、実は毎日の食卓にあるのです。特別なサプリメントや高価な健康食品ではなく、身近な食材を使った手作りの料理こそが、私たちの体を作り、守ってくれます。

今夜の献立に、この「鶏むね肉と根菜の塩麹しょうが煮」を加えてみませんか。きっと、体が喜ぶ美味しさを感じていただけるはずです。